【PT・OT・ST向け】サービス担当者会議の目的を理解 リハビリ職に求められること

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ライフスタイル

訪問リハビリに従事していると、ケアマネージャーさんからサービス担当者会議への出席の依頼がきます。
サービス担当者会議は、利用者さん(患者さん)や家族、キーパーソンと医療・介護の在宅サービス関係者が、サービスについて情報共有や課題を話し合う会議として開催されます。

サービス担当者会議によって、利用者さんのQOL向上や、リハビリのターニングポイントとなる場合があります。
このブログでは、サービス担当者会議の準備・目的・ポイントを紹介していますので、今後の会議に役立ててください。

PT・OT・STが、このブログを読むメリット
  • サービス担当者会議の目的や目標を理解できる
  • サービス担当者会議の準備ができる
  • サービス担当者会議の当日の流れを理解できる
  • ケアマネージャーさんとの連携を強化できる

このブログを書いた人

ビビ
ビビ
  • 理学療法士、宅建士、訪問リハビリ8年、病院5年、不動産業10年
  • 多数のサービス担当者会議に出席
  • 不動産業営業からPTに転職し、訪問リハ&住宅改修情報を発信中

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令和3年3月31日  厚生労働省老健局
「介居宅介護支援等に係る書類・事務手続や業務負担等の取扱いについて」
を参考に作成しています。

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サービス担当者会議は義務

サービス担当者会議は、厚生労働省が掲げる「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」開催を義務つけられている会議です。

「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」とは

第12条15項
介護支援専門員は、次に掲げる場合においては、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
イ 要介護認定を受けている利用者が法第二十八条第二項に規定する要介護更新認定を受けた場合
ロ 要介護認定を受けている利用者が法第二十九条第一項に規定する要介護状態区分の変更の認定を受けた場合

要約すると、
要介護更新認定を受けたとき
要介護区分の変更の認定を受けたときは、
サービス担当者会議を開催することが義務付けられています。

介護保険最新情報vol.454 「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A
Q:介護支援専門員が開催する「サービス担当者会議」に参加し、リハビリテーション会議同等の構成員の参加とリハビリテーション計画に関する検討が行われた場合は、リハビリテーション会議を開催したものと考えてよいのか。
A:サービス担当者会議からの一連の流れで、リハビリテーション会議と同様の構成員によって、リハビリテーションに関する専門的な見地から利用者の状況等に関する情報を共有した場合は、リハビリテーション会議を行ったとして差し支えない。
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サービス担当者会議の目的

  1. 利用者やその家族の生活全体およびその課題を共通理解すること
  2. 地域のサービスなどの情報共有をし、その役割を理解すること
  3. 利用者の課題、生活機能向上の目標、支援の方針、支援計画などを協議すること

どれも大切な目的です。
訪問リハビリがチームの一員として、情報共有し役割を理解することが大切ですね。

訪問リハビリにとってのサービス担当者会議の意義

サービス担当者会議は、サービス開始時に法律的に必要であるだけでなく、他のサービス提供事業者と直接支援方針を照らし合わせられる機会です。
セラピストは、サービス担当者会議の基本的な流れを踏まえて、さまざまな情報を得ることができます。

  • 情報共有と連携強化:サービス担当者間での情報共有や連携を促進します。異なる専門家や関係者が集まり、利用者さんのケアに関する情報を共有し、最適なサービス提供することができます。
  • 問題解決とプラン調整:会議では、利用者さんの状況やニーズに応じて、リハビリテーションプランを調整し、問題や課題に対処するための方法を検討します。担当者全員で検討してより効果的なケアプランを策定します。
  • チームビルディング:サービス担当者会議は、チームメンバー間のコミュニケーションや協力関係を強化する場でもあります。相互の役割や責任を理解し、チーム全体として協力して働くことで、利用者さんのケアの質を向上させます。
  • その他:担当者が一堂に会して連携をとることは、利用者さんやその家族にとって心強い場となります。サービスに安心感が生まれます。

訪問リハビリにとってのサービス担当者会議の目的

各担当者ごとに課せられる目的は異なります。
訪問リハビリの目的は、以下のようにまとめることができます。

  • 利用者さんと家族の課題や目標を共通認識にする
  • 目標に対する訪問リハの役割を知る
  • 目標に対する他サービスとの関係性の確認
  • 具体的な訪問リハの内容とリスクの確認
  • 専門的立場からの助言

「顔の見える関係」が、今後の連携の細やかさに関わってきます。
サービス担当者会議を通して、距離を縮めることができます。

訪問リハビリ職に求められること

リハビリ職に対して、ケアマネージャーさんは以下のようなことを求めています。

  • 本人に生活の指導をしてほしい
  • 家族に介護の指導をしてほしい
  • リハビリの計画が知りたい
  • 適切な福祉用具の提案が欲しい

などがあります。
ケアマネージャーさんの期待に応える、ステキな訪問リハビリになりましょう。

サービス担当者会議の議事録

ケアマネージャーは、サービス担当者会議の議事録を作成します。

参照 厚生労働省 居宅サービス計画書標準様式及び記載要領

訪問リハビリでも、同様の記録を作成することをお勧めします。
会議後に、ケアマネージャーさんに議事録をいただく事もあります。

サービス担当者会議前の準備

サービス担当者会議の開催が決まったら、利用者さんの再評価を行います。

介護保険更新時は、「退院後の生活」・「介護の生活」など、利用者さんや家族の生活状況が変化していることがあります。
ケアプラン変更時には、変更の目的を把握しておくことで、利用者さんや家族の希望に沿った目標を支援する提案ができます。

サービス担当者会議に向けて再評価

リハビリ職として、開催前に利用者さんの生活上の動作の評価、介護の再評価を行います。
療法士として、TUG、HDS-R、MMT、ROM-Tなどの評価も有用です。

「現在のリハビリ」や、「これからのリハビリ」についてヒアリングを行うこともおすすめです。
改めて聞き取りをする場合は、興味関心チェックシートを活用する事が有用です。

参照 厚生労働省 興味関心チェックシート

さらに

  • 転倒の危険を感じたこと
  • 上手くできない動作
  • 生活の改善したい事

を聞き取っておくと、サービス担当者会議のときに情報共有ができます。

複数のPT・OT・STが訪問リハビリに関わっている場合

事前に情報・評価の情報共有を行い、リハビリ職同士で方向性を合わせましょう。
リハビリ職の意見がバラバラになると、利用者さんやケアマネージャーさんは困惑してしまいます。

  • 自主練習のメニューを再確認して、全体として過不足を確認することがおすすめです。
  • 自主練習のメニューが多い場合は、「できない」「続かない」の原因となります。
  • 自主練習のメニューが少ない場合は、「効果が出ない」「物足りない」の原因となります。
ビビ
ビビ

リハ職同士の情報交換は、重要だと思います。
普段のリハビリ内容だけでなく、経過や治療プログラムなどを再確認することができます。
さらに、各セラピストの考えや想いを聞くことができます。

住環境の調整と福祉用具の検討

事前の評価で、必要な福祉用具があればサービス担当者会議で提案をします。

サービス担当者会議の当日に、福祉用具の貸与(レンタル)の提案をするメリット

  • 介護保険の利用点数が確認できる
  • 福祉用具業者さんのを含め参加者の意見を聞くことができる。
  • 住宅改修の場合は、工事内容を確認することができる。

進行性の難病、疾患の場合には、疾患の進行を想定し福祉用具や住宅改修の相談を早期に進めておくこともできます。

例)現在の車椅子にヘッドレストを装着する事が可能か?その場合の費用負担はいくらか?

住宅改修に関する記事を書いています。
住宅に設置する基本的な手すりの高さ、必要な場所をまとめています。
【高齢者住宅】手すりを設置するメリット
自宅で、車いす生活するときに注意することや住宅改修のポイントを紹介しています。
家の中で車いす 暮らしやすい住宅にする

サービス担当者会議の開催で知っておくこと

サービス担当者会議に参加する職種

  • ケアマネージャー
  • 本人・家族・キーパーソン
  • 医師・看護師・薬剤師・管理栄養士
  • PT・OT・ST
  • 介護関係者
  • 福祉用具業者
  • 近隣の友人、ボランティアなど

利用者さん宅で開催する事がよくあります。
当日の会議は、早く到着すると迷惑になる場合があります。

ワンポイントアドバイス
  • 5~10分前に到着するように
  • 出席者と挨拶と名刺交換ができます
  • 靴はそろえる

座席

訪問すると、サービス担当者会議を開催する部屋に案内されます。
下図は席の順番を示しています。

①が上座(かみざ)で④が下座(しもざ)になります。

立場が上の人から①~④の順番に座ります。

基本的に、④に座るように動きますが、座席はこだわらないようにしています。
会議の時間や部屋の広さ、出席者の人数によって、仕方なく上座(かみざ)に座ることもあります。

座席の順番

座席にこだわらない理由は、時間をかけても会議の質に影響がないからです。

サービス担当者会議 最初の挨拶

司会はケアマネージャーが行うことが多いです。

ケアマネさん
ケアマネさん

サービス担当者会議を始めます。
まず、リハビリさんから自己紹介をお願いします。

自己紹介を一番最初に求められることがあります。

ビビ
ビビ

○○病院の理学療法士で、訪問リハビリを担当しているビビです。
よろしくお願いします。

マスクを着けているので、出来るだけハッキリと声を出すように意識しています。
名札はつけて出席します。

サービス担当者会議の流れ

ケアマネージャーさんの進行で、議題について意見を述べていく。
細かな流れについては基準がなく、各サービス担当者会議にゆだねられています。

ケアマネさん
ケアマネさん

現状について、まずリハビリさんから教えてください

挨拶だけでなく、議題の意見を一番に求められるケースもあります。

現状報告の具体例

定型のパターンはありませんので、私が発言の時に気をつけていることを順番に紹介します。

  1. 全体像を簡単に説明
  2. 具体的なリハビリ内容
  3. 今後の見通し

発言時間は、1~2分程度が適当と思われます。

ビビ
ビビ

 体調不良や転倒などの報告はありません。熱中症対策では、エアコンを適切に使用され、安全に生活されていると思います。

 家事は、安全にできる範囲でがんばっておられ、毎日、掃除機やモップで掃除ができるようになりました。

 現在リハビリでは、短期目標の「近隣のスーパーに買物に行く」に向かって、屋外の歩行練習、階段練習を行っています。坂道にも慣れてきて、自転車や歩行者に気をつけて歩く事ができています。

 来月は、実際にスーパーに行ってみたいと思います。課題は、買物荷物を自宅まで運ぶことです。

私の場合は、発表に中に「うまくできているポイント」を入れるようにしています。

サービス担当者会議の検討項目

  • 訪問看護師さんからは、看護の状況やリスク、介入時の様子が報告があります。
  • 訪問介護・ヘルパーさんからは、現状の介護状況について報告があります。
  • 家族さんからは、生活の様子や困っている事などがあります。

どれも大切な報告で、看護師さんが注意してケアをしている部分は、リハビリの時も注意が必要です。

 OK行動
  • 出席者に質問する。
  • 結論を後日にする※1
  • メモをする
 NG行動
  • 長時間発言する
  • 間違いを指摘する
  • 他サービスのダメ出しをする

※1:結論を後日にするは、「リハビリ評価、介護方法の検討、福祉用具の選定」してから返答することです。
返答方法は、電話、FAXなどがあります。

訪問リハビリに役立つ記事を書いています。
買物に行きたい利用者さんの評価をまとめています。
高齢者の買い物リハビリ 付き添いのポイント
関節リウマチ患者の住宅改修のポイントをまとめています。
関節リウマチ 歩行困難に立ち向かう提案

今回のポイント

ケアマネージャーさんは、リハビリ職の仕事をすべて理解しているわけではありません。
サービス担当者会議では、改めて利用者さんが困っていること、家族さんが介護負担に感じていることをお聞きします。
ケアマネージャーさんは、PT・OT・STのすべての仕事は知りません。

  • OTが、余暇活動の提案や、精神領域のリハビリも長けていること。
  • STが、寝たきりの方でも経口摂取ができるリハビリを提供できること

知らないことはたくさんあります。
積極的な、介入提案を行い利用者さんのQOL向上につなげていきましょう。

サービス担当者会議が終わったあと

挨拶をして、忘れ物がないように帰ります。
利用者さんの家の前でガヤガヤ・ワイワイすると近所迷惑になります。
しかし利用者さん、家族さんに聞かれたくないことを少しだけ話しをすることがあります。

会議の後に話しをするケース

進行性疾患では、将来において介護負担が増加することがありますので、準備のために話しをします。
リハビリをがんばっている利用者さんのモチベーションに配慮するためです。
(例)
介護ヘルパーさんに、病気の進行に伴って、立つときの介護が増えると思います。
今後は、自宅での介護が、難しくなるかもしれません。
その時は、介助方法の変更や福祉用具の導入を検討するので教えてください。

などを伝えます。

会議の後ですので、出席者の緊張感も少しやわらいで、話しやすくなっていると思います。
少し笑顔で話しをすると、顔の見える関係もさらにアップします。

担当者会議で抽出された課題

明確になった課題をもとに、今後のリハビリプログラムを再考します。
新たな課題に向かって専門性を活かします。
意見交換をするケアマネージャーさんとは、相互の信頼関係が醸成されやすいという報告があります。
ケアマネージャーさんを中心とする、医療・介護スタッフが一丸となって、利用者さんと家族さんの生活支援を行うことが、利用者さんのニーズに応えQOL高める効果があると考えています。

まとめ

訪問リハビリの仕事に携わっていると、必ずサービス担当者会議の出席要請があります。
サービス担当者会議の目的を理解することで、利用者さんのQOL向上に繋がります。

ケアマネージャーさんが訪問リハビリに期待していること
  • 生活の中で危険なところがあれば教えてほしい。
  • 本人に生活の指導をしてほしい
  • 家族に介護の指導をしてほしい
  • リハビリの計画が知りたい
  • 適切な福祉用具の提案が欲しい
訪問リハビリがサービス担当者会議に出席するメリット
  • 他サービスと顔の見える関係になる
  • 利用者さん、家族さんの再評価のきっかけになる
  • 他サービスの介入を知る
  • 多職種から見た現状を知ることができる
  • 普段できない話をすることができる

最後まで読んでいただきありがとうございます。
サービス担当者会議の目的やメリットを確認して、利用者さんのQOL向上に頑張っていきましょう。

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