【退院直後の転倒対策】訪問リハPTがチェックポイントを徹底解説

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高齢者が退院後に自宅で安全に過ごすためには、転倒のリスク管理が極めて重要です。
しかし、何に注意すべきか、具体的な対策がわからず不安を感じている療法士の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、退院直後の高齢者に対してベテラン理学療法士が実際に行っている転倒予防のチェックポイントを徹底解説します。
体調の変化や生活環境の評価、外出時の注意点まで、多角的にアプローチし、転倒を防ぐための実践的な方法を紹介しています。病棟の療法士・訪問リハビリの療法士の両方の現場で即役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ビビ
ビビ

理学療法士15年・訪問リハ10年・宅建士・福祉住環境コーディネーター2級
不動産営業マンを経て、理学療法士に転身。
住環境や高齢者の在宅生活に役立つ情報をブログで発信中

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高齢者が転倒する場所を知って対策する

高齢者は、自宅の『庭』で転倒することが分かります。
次に、自宅内では『リビング』や『玄関』『階段』『寝室』で転倒しています。
この場所で転倒する想定をして、福祉用具などで対策を検討することは重要です。

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退院後によくある身体の変化と対応策

退院後、患者さんが自宅に戻った後に体調の変化が見られることは珍しくありません。
入院中は医療スタッフによって管理されていた健康状態も、自宅に戻ると環境の変化や日常生活の復帰により、新たな不調が現れることがあります。これらの不調を早期に確認し、適切に対応することは、転倒などの二次的なリスクを防ぐために非常に重要です。

退院後の体調について確認する

退院直後に注意すべき体調不良があります。
入院中はベッド上での安静やリハビリテーションが中心となり、生活の疲れはほとんどありません。自宅に戻り、日常的な動作を再開した際に、身体に痛みや不調が生じることがあります。よくある変化として、血圧変動する事や排せつのリズムが変化する事あります。特に、家事動作を頑張ってしまうと手術部の痛みや腰痛が出現することは珍しくありません。

  • 気分不良・頭痛・腹痛・倦怠感の質問する
  • 食欲不振や栄養バランスについて
  • 睡眠時間と熟睡感の両方を質問する
  • 次回の受診日
ビビ
ビビ

退院おめでとうございます。
その後の体調はいかがですか?手術のところ痛くなっていませんか?
雑談のように和やかな雰囲気で質問しています。

睡眠状態の変化の確認

退院後、自宅での生活に戻ると、環境の変化や日常のリズムの違いから、睡眠状態に変化が生じることがあります。高齢者の場合、睡眠の質が低下すると、日中の活動や安全に大きな影響を及ぼす可能性があります。
入院中は規則正しい生活が保たれていた一方、自宅に戻ると夜更かしや日中の昼寝が増え、睡眠リズムが崩れることがあります。
また、睡眠中の中途覚醒も高齢者に多く見られる問題です。入院中に夜間のトイレ回数が増加することがあり、退院後も続いてしまうことがあります。

退院後は、体調が整うまで“ゆっくり過ごす”をアドバイスします。
数か月入院した患者さんは、自宅退院後に<衣替え>をする人が多い。

本人に自宅で転倒や危険に感じる場所・動作の確認

退院後の高齢者が自宅で安全に過ごすためには、本人からの直接的な聞き取りを通じて、転倒リスクや危険な動作を特定することが不可欠です。
高齢者自身が日常生活で感じている不安や、特定の動作に対する不安感は、転倒予防において重要な手がかりとなります。

まず、自宅で感じる不安な場所や動作について聞き取りを行います。

  • 階段の上り下りが怖い
  • お風呂場で滑りやすい
  • 立ち上がる時にふらつく

これらの情報は、本人がどの場面で特に転倒のリスクを感じているのかを明らかにし、必要な対策を講じるための基礎となります。

さらに、過去に転倒した経験があるかどうかを確認することも重要です。

  • 過去に転倒したことがある場所
  • 転倒した時のシチュエーション

例えば、「夜中にトイレに行く途中で転んだ」「玄関で靴を履くときにバランスを崩した」などの具体的な経験があれば、その場所や動作に対する改善策を講じることが必要です。

高齢者が安全に暮らすための生活環境チェックポイント

日常的に使っている家具・設備が、実は転倒のリスクを高めているかもしれません。
特に高齢者にとって、ちょっとしたつまずきや滑りは大きな事故につながる危険があります
このセクションでは、室内の整理整頓から、ベッドや椅子、トイレ動作、履物の安全性に至るまで、日常生活で気をつけるべきポイントを詳しく解説します。
これらのチェックポイントを見直すことで、ご家族や介護者が安心して見守れる環境を整える手助けとなるでしょう。

室内の【カーペットの段差、家電コード、足の踏み場】の整理整頓

室内の整理整頓は、高齢者の転倒リスクを大幅に減らすための基本的な対策です。
特に注意すべきは、カーペットの段差家電コードです。
カーペットの端が浮いていたり、床に段差があると、つまずきやすくなります。
家電コードが床に散乱していると、足が引っかかって転倒する危険性が高まります。
これらは、部屋を歩く際に無意識に避けることが難しいため、事前に整理しておくことが重要です。
家具の配置も見直し、足の踏み場を確保することで、移動時の安全性が向上します。

椅子の安全性(キャスター付きの椅子)

高齢者が普段座る椅子の安全性は、見逃されがちなポイントです。
椅子の高さは重要です。座面が低すぎると立ち上がりに力が必要となり、高すぎると安定感が失われます。適切な高さの椅子を選ぶことが、転倒防止につながります。
キャスター付きの椅子は、座る際や立ち上がる際に椅子が動いてしまい、バランスを崩して転倒する危険があります。
キャスター付きの椅子を使用している場合は、固定する仕組みや滑り止めの設置を検討するか、安定した脚のついた椅子に変更することが推奨されます。

  • ダイニングチェアー
  • 低いソファからの立ち上がり
  • こたつ

ベッドサイドの評価は必要か?

ベッドサイドは、転倒が多く発生しやすい場所の一つです。
ベッドから立ち上がる際や、朝起床する際にふらつくことがあります。
このため、「滑り止めマット」「手すりの設置」を検討することが重要です。マットやラグを使用する場合は、滑りにくい素材のものを選び、ズレ防止シートを敷くことで安全性を高めることができます。
また、ベッドの高さや位置も確認し、必要に応じて調整することで、転倒のリスクを減らすことが可能です。

ビビ
ビビ

ベッドサイドに100均の「滑り止めマット」を設置したことがあります。

過去記事

寝室の住宅改修や福祉用具を解説した記事はコチラ

トイレ動作評価【移動・下衣操作・立ち上がり・着座動作】

トイレ内での移動や下衣操作、そして立ち上がりや着座動作は、バランスを崩しやすい動作です。
手すりを設置することで安全性を確保できます。
特にトイレで介助が必要な高齢者の場合には、手すりをもって安定した立位が保てるかどうかが重要なポイントになります。

過去記事

トイレの住宅改修や福祉用具を解説した記事はコチラ

裸足?スリッパ?室内靴?履物の安全性

高齢者が履く履物の選択は、転倒防止に直接関わる重要な要素です。
「裸足」での歩行は、足の裏が乾燥してフローリングで滑る危険性があります。
「スリッパ」も注意が必要です。かかとがないタイプのスリッパは、引っ掛かりやつまずきの原因になるため、転倒のリスクが高まります。
「室内靴」は、安全性が向上するため推奨したいですが、習慣的に室内で靴を履くことに抵抗がある人が多いと思います。
履物の見直しを通じて、家庭内での安全な歩行をサポートしましょう。

スリッパは絶対ダメと決めずに、患者さんの気持ちを尊重して、動作の評価をしてからアドバイスしましょう。

家族やケアマネージャーとの連携で安心安全な生活を

高齢者が退院後に自宅で安心して暮らすためには、家族やケアマネージャー、ヘルパーとの密な連携が欠かせません。
本人が気づかない転倒リスクや、日常生活の中で危険を感じる場面を、周囲の人々がしっかりと把握し、適切な対策を講じることが必要です。
このセクションでは、同居家族からの聞き取りを通じて転倒リスクを特定し、さらにケアマネージャーやヘルパーからの視点を取り入れることで、より安全な生活環境を整えるためのポイントを紹介します。家族や介護の専門家が連携することで、高齢者が安心して過ごせる環境が整えられます。

定期的にケアマネージャーやヘルパーと情報を共有し、リスクの変化に対応していくことが重要です。高齢者の体調や状況は時間とともに変化するため、継続的に見直すことで、安心して暮らせる環境を保ち続けることが可能になります。

過去記事

サービス担当者会議を紹介した記事はコチラ
サービス担当者会議の情報収集や、発言の仕方、療法士に求められることを解説しています。

同居家族から転倒について聞き取り

同居家族は、高齢者の日常生活を最も身近で見守る存在です。
だからこそ、転倒につながる危険を早期に察知し、防ぐための対策を取る役割が求められます。
まず、家族に対して、過去に高齢者が自宅内でつまずいたり、バランスを崩しかけた場所や場面がなかったかを確認することが重要です。

ビビ
ビビ

ご家族さんから見て<危ない>と感じる時はありますか?

家族さん
家族さん

ベランダに出ようしたときに、持つところがなくって・・・

ビビ
ビビ

本人は以前、「危ないからベランダには出ない」とおっしゃっていましたが・・。では、手すりなどの転倒予防を検討しましょう。

このような、簡単なコミュニケーションから住宅改修につながるケースがあります。
家族さんとの情報交換は大事ですね。

ケアマネさんやヘルパーさんからの危険を感じる場面の聞き取り

ケアマネージャーやヘルパーは、高齢者のケアを専門とするプロフェッショナルであり、家庭内でのリスクを見つける視点を持っています。
彼らからの聞き取りは、転倒予防において非常に重要です。
ヘルパーは、多くのケースに触れているため、他の家庭で行われている有効な転倒予防策を提案してくれることもあります。専門家からの視点を活かして、より安全な生活環境を作り上げることができるでしょう。

ビビ
ビビ

ヘルパーさんから見て、利用者さんの危険な動作はありますか?

ヘルパーさん
ヘルパーさん

いつも、ソファから立つのに、苦労されています。

ビビ
ビビ

ありがとうございます。
置き型手すりを設置を検討します。

ケアマネさんやヘルパーさんは、高齢者の日常の動作をよく見ています。
リハビリ中とは違う高齢者の様子が聞けます。

外出時に注意すべき環境リスクとその対策

外出時には、屋外特有のリスクを考慮する必要があります
特に、歩道の段差や舗装が不均一な場所は、高齢者にとって転倒の危険が大きいポイントです。
また、雨の日の滑りやすい地面や冬場の凍結路面など、季節ごとの環境変化にも注意が必要です。外出前には、適切な履物を選び、杖や歩行補助具を利用することで安全性を高めましょう。

車(自家用車・タクシー)に乗車する場所の評価 (傾斜・不整地)

自家用車やタクシーに乗り込む際の転倒は珍しいケースではありません。
特に乗車する場所が傾斜していたり、不整地である場合、足元が不安定になり、車に乗り込む動作が難しくなることがあります。
高齢者にとって、車のドアに手をかけながらの乗車降車はバランスを崩しやすい瞬間でもあります。車の乗り降りを行う場所は、平坦で滑りにくい場所を選ぶことが理想です。
また、足の骨折後などで筋力が低下している場合は、乗車の動作が不安定になる場合があります。
必要に応じて自家用車の車種を確認し、乗降動作の評価も必要です。

乗用車の<乗り降りの動作>特殊な動作です。
家族さんに協力していただき、実際の車での練習をおすすめします。
降車時の膝折れに注意。

玄関から道路までの階段や坂道の安全性 (手すりの設置や地面の滑り具合)

最重要チェックポイントの一つです。
「外出・通院・散歩」家から出かける場合には必要になります。
玄関から道路までのアプローチに階段や坂道がある場合、特に注意が必要です。
雨の日や冬の凍結時には、地面が滑りやすくなり、転倒のリスクが増大します。
階段や坂道の地面の滑り具合も定期的に確認し、必要に応じて滑り止めの加工や、地面の補修を行うことが重要です。

外出方法は、介護方法もチェックしましょう。
家族さんへの介護指導も安全対策には必要です。

門扉開閉、歩行器の持ち上げ、外出時の一連の動作の安全性

一人で外出するときのチェックポイントです。
外出時には、門扉の開閉や歩行器の持ち上げなど、複数の動作が連続して行われます。
これらの動作は、一つ一つが転倒のリスクを伴うため、動作の流れを考慮して安全対策を講じることが重要です。
まず、門扉が開閉しにくい場合は、手順や開閉の留め具を検討しましょう。
次に、歩行器を持ち上げる際は、歩行器の重量なども選定の時から注意しましょう。
可能であればスロープを設置して持ち上げる動作を減らすことが推奨されます。

外出のための一連の動作が安全にできれば、高齢者の活動範囲を広げることができます。

過去記事

玄関の住宅改修の方法や福祉用具の活用法を紹介した記事はコチラ

玄関框の昇降・靴を履く動作の安全性の評価

玄関の「框(かまち)の昇降」「靴を履く動作」は、危険が潜む場面です。
玄関の段差を越える際、バランスを崩す可能性があるため、一段当たりの段差を低くする改修を検討することが大切です。
また、靴を履く際に片足立ちになることは、高齢者にとって転倒のリスクを高めます。
靴を履く際に座れる椅子を設置する、または玄関に手すりを設置して片足立ちが安定する工夫が必要です。
さらに、靴べらを活用し、スムーズに靴を履けるようサポートすることも、転倒防止に効果的です。

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Q&A

Q1: 退院直後の高齢者に対して、まず最初に確認すべきポイントは何ですか?

A1:最初に確認すべきポイントは、体調の変化です。退院後の不調(例: 血圧の変動や腰痛)や睡眠の質の低下がないかをチェックし、必要な対応を早期に行うことが重要です。これにより、転倒リスクを大幅に減らすことができます。

Q2: 家の中での転倒リスクを減らすために、最も優先して行うべき環境整備は何ですか?

A2: 最も優先すべきは、室内の整理整頓です。カーペットの段差や家電コードなど、つまずきやすい物を取り除くことが、転倒予防の基本となります。さらに、使用頻度の高い椅子やベッド周りの安全性も確認しましょう。

Q3: 家族やケアマネージャーとの連携で、特に重要なことは何ですか?

A3: 家族やケアマネージャーとの連携で特に重要なのは、転倒リスクの情報共有です。家族やケアマネージャーから、これまでに危険を感じた場所や状況を聞き取り、具体的な改善策を一緒に考えることで、安全な生活環境を整えることができます。

まとめ

退院直後の高齢者が自宅で安全に過ごせるようにするためには、環境の整備と体調のチェックが不可欠です。特に、転倒リスクを減らすために注意すべきポイントを以下にまとめました。
訪問リハビリ未経験の療法士や若手療法士にとっても、すぐに実践できる内容です。

  1. 退院後の体調チェック
    体の不調を早期に確認: 高血圧・便秘・頻尿・腰痛やなどの身体の不調を見逃さず、早期に対応。
    睡眠状態の変化: 睡眠不足や起床時のふらつきを確認し、適切なサポートを提案。
    転倒リスクの聞き取り: 本人に対して、危険に感じる場所や動作をヒアリング。
  1. 生活環境の評価
    室内の整理整頓: カーペットや家電コードなど、つまずきやすい物を取り除く。
    椅子やベッド周りの安全性: キャスター付き椅子の使用や、ベッドサイドの滑り止め設置を検討。
    トイレ動作の評価: 移動や立ち上がり動作の安全性を確認し、必要な補助具を導入。
    履物の安全性: 室内履きやスリッパの選択にも注意を払い、滑りにくいものを選ぶ。
  1. 家族やケアマネとの連携
    同居家族との情報共有: 転倒リスクが高い場所や状況を家族から聞き取り、改善策を一緒に考える。
    ケアマネやヘルパーの視点: 専門家の意見を参考にし、安全な生活環境を整備。
  1. 外出時の環境リスクの対策
    車の乗り降り場所の確認: 車への乗り降りが安全に行える場所を選ぶ。
    玄関から道路までの安全性: 階段や坂道には手すりを設置しする。
    門扉開閉や歩行器の使用時の動作確認: 外出時に行う一連の動作をスムーズに行えるように環境を整える。
    玄関での靴を履く動作: 安全に靴を履けるように椅子を設置し、玄関の段差には注意を払う。

これらのポイントを意識しながら、訪問リハビリを行うことで、高齢者が自宅で安心して過ごせる環境を整えることができます。療法士として、適切な介入と家族との連携を図り、転倒予防に努めてください。
他にもたくさんの注意点があると思います。
私は「〇〇〇」に注意しています。などございましたら、コメントいただけると勉強になります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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