高齢者の住宅で必ずチェックするポイントの【玄関】について説明します。
玄関はよく改修します。
玄関の改修って難しくないですか?
その割に、改修頻度高くないですか?
玄関の改修では、段差が問題となります。
福祉用具の特徴を押さえて、家屋調査を行いましょう。
最初は情報収集
まずは情報収集として聞き取りを行います。
①ドアの形状と②高齢者が玄関を利用するかどうか?
①ドアの形状とは、開き戸か引き戸かです。
開き戸
引き戸
②玄関を使用するかどうか。
実は、玄関を使わずに勝手口を使用する人がいます。
退院後から玄関を使用する場合もありますが、これまで通り勝手口を利用する方もいます。
玄関ドア
玄関ドアは、とても重たいです。
高齢女性は、開閉時にふらつくことがあります。
改修方法
玄関ドア横に縦手すりを付けます。
メリットは、開閉時にふらつかないように安定させる。
手すりの高さは、立って手の届く高さ。
手すりの取付困難な場合
- 屋内側は「ベストポジションバー」
- 屋外側は「たちアップ」
道路から玄関までのアプローチに手すりを設置する場合は、玄関ドア近くまで伸ばして改修する。
手すりが長い場合には、駐車場や庭への通路の邪魔にならないかどうか確認してください。
玄関鍵
現在の住宅では、玄関の施錠は鍵、カードキー、リモコンキー、スマートホンなど様々な施錠方法があります。
身体機能の低下している利用者さんに対しては、リモコンキーなどの提案は有効と思われます。
住宅改修の提案としてはかなり稀だと思います。
配食の方やヘルパーさんや訪問系のサービスの方の迎え入れや退出後の施錠に役立つと思います。
これなら、ベッドで寝たきりの方や車いすの方でも、ドアの施錠ができ、ヘルパーさんの訪問時間には開錠することが出来ます。
スマートキー
スマホで鍵の開錠ができます。
時間を指定して、鍵の機能を制限できます。
- 他人に家の鍵を渡すのは不安
- この時間だけヘルパーさんが入れるようにしたい
- 複数の鍵を作ると管理が難しい
- 鍵の操作情報がスマホに届くから、誰が解施錠したかが分かります。
靴の着脱
靴の着脱は片脚立位(片足立ち)の能力が必要です。
片脚立位が困難な場合には、手すりをもって動作が可能かどうか評価してください。
- 椅子に座って靴の着脱をする
- 介助者に手伝ってもらう方法です。
椅子を設置するときは、足を置く場所にはタイルマットなどを配置して、床の汚れや傷を防止してください。
VELA(ベラ):福祉用具の一つで靴ベラを靴に装着することが出来るものがあります。
靴を履く前に、かかと部分にベラを装着して、靴を履きます。
高額な商品では無いためオススメです
改修方法
段差が大きいと危険です。
1回で昇降せず、2回で昇降するように分割します。
40㎝の段差昇降の場合には、20㎝×2段に変更し難易度を変更します。
改修方法
土間が狭い玄関は、敷台を置くスペースがない家もあります。
この時は、下駄箱をしっかり持って昇降します。
下駄箱に手すりを取り付けることがあります。
福祉用具業者さんと相談して取り付けることが可能かどうか検討してみてください。
靴の着脱と框の昇降を同時に行える【昇降機】を使用する場合もあります。
昇降機
座って昇降できるものがあります。リモコンで上下と左右回転の操作が可能です。
アプローチ
玄関から道路までの間をアプローチと呼びます。
手すり
アプローチに階段がある場合、手すりをつけて改修します。
実際に使用する経路に沿って手すりを設置するように検討してください。
端にキレイに設置するほうが良いわけではありません。
実際に通るときに持って歩かなければ意味がありません。
手すりは、玄関ドアまで設置すると使い勝手がよくなります。
スロープ
スロープを設置して移動する場合があります。
車いすが通行する場合の勾配は1/12~1/15です。
これは1m上昇するためには、12m~15mの長さの距離が必要
実際はこのような長距離のスロープを設置することが不可能な場合があります。
急角度になりますが、写真のようなスロープを使用したことがあります。
二人介助での移動を推奨しました。
昇降機
長い階段がある家では、昇降機を設置している家もありました。
設置費用が高額です。
必要性をしっかり検討してください。
設置したが使用していない家があります。
また、設置して重宝している方もあります。
使用頻度には差があります。
台
屋外の段差解消に敷台(しきだい)を設置するケースがあります。
設置してしまうと、取り外すことができず、使い続け無ければなりません。
同居家族の使い勝手が、悪くなってしまう事もあります。
家屋調査や住宅改修提案では、同居家族も配慮する必要があります。
このような時に、発泡スチロール製の台を2つテープでくっつけて、必要なときにだけその台を足元に置き利用者さんが通行する。
発泡スチロール製の台で軽く簡単に置いたり外したりできます。介助者の負担もありませんので、通ったあとはサッと片付けています。
小柄な高齢者が高い段差を移動するときにだけの使用するものとしては良いと思います。また、安価なため使い勝手が悪くなっても、経済的負担も小さくてすみます。
最後に
現地を見に行かなければ、わからないことが沢山あります。
病院からの自宅退院を目指す場合は、入院初期の段階で外から見に行ってみることをおススメします。
家を見ることで、様々な発見があります。
家の場所や形状や高低差、家の周りの様子、近隣の買い物施設などがわかります。家の周りは平坦でも周辺は坂道が沢山あるなど、行くことでたくさん発見があります。
一人ひとり丁寧に行うことが在宅復帰を想定した評価やリハビリプログラム立案に必要です。
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高齢者の住宅改修の一助になれば幸いです
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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