股関節の骨折では、骨盤の骨折と足の骨折(大腿骨・だいたいこつ)の骨折があります。
特に、大腿骨骨折で入院される高齢者はたくさんいます。
大腿骨骨折は特に高齢者によく見る骨折で、高齢者の4大骨折の1つです。
このブログでは、大腿骨骨折、特に大腿骨頸部骨折後の自宅復帰を想定した住宅改修のポイントをご紹介します。
これらは、骨折後だけでなく、骨折は無くても歩く状態が不安定になってきた方や、足の筋力が低下してきている方などにも、参考になると考えます。
理学療法士15年・訪問リハビリ10年・元不動産営業10年
福祉住環境コーディネーター2級
回復期病院で住宅改修の講師してます
大腿骨頸部骨折を知る
大腿骨頸部骨折
そして、大腿骨頭のすぐ下にある細くくびれている部分を大腿骨頚部、この部分で起きた骨折を「大腿骨頚部骨折」とよびます。
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また大腿骨頚部のすぐ下にある太く出っ張った部分を転子部といい、転子部の骨折は大腿骨転子部骨折とよばれ、大腿骨頚部骨折とは区別されます。
大腿骨頸部骨折の原因
大腿骨頚部骨折を起きやすくする主な原因は骨粗鬆症です。骨粗しょう症とは骨の内部がスカスカになり骨の強度が低下してしまう病気で、高齢の女性に多く発症します。
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骨粗しょう症で骨の強度が弱くなると、外部から強い衝撃を受けなくても骨折してしまうことがあります。1998年〜2001年に日本整形外科学会が行った調査によると、大腿骨頚部骨折の受傷原因の第一位は立った高さからの転倒です。つまり、骨の強度が弱いために歩行中や立位時の転倒など、比較的小さな外力で大腿骨頚部骨折を発症しているケースが多くを占めています。
転倒を防ぐために
大腿骨頚部骨折の受傷原因の多くは立位時や歩行時の転倒です。そのため、日頃からつまずきや転倒を防ぐために、家のなかの環境などを整えておくことが大切です。
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“家のなかの環境を整えておくこと”とはどのようの事でしょうか?
住宅環境の調整では、いかに段差を解消するか、という点に着目する必要があります。
段差に注目する理由
段差は、大きい段差・小さい段差があります。
大きい段差は、階段・玄関などです。
小さい段差は、敷居・カーペットの段などです。
足の力が落ちていると、歩いても足が上がらないので「つまづき」で転倒に注意が必要です。
住宅内の段差のある場所について見ていきましょう。
住宅の段差がある箇所
- 玄関
- 居室
- 洗面所 トイレ 浴室
- カーペットとラグ
- 階段
段差を攻略することで、再転倒のリスクを軽減させることができます。
転倒の原因は、つまづき、滑り、段差でのバランス不良が考えられます。
玄関の段差 (玄関框かまち)
玄関の靴を脱ぐところ(土間)と廊下の段差はなくすことはできません。
安全に昇降出来るように調整します。
段差は、高低40センチ程度ある場合
→段を2段にして、より少ない筋力で昇降出来るようにします。
玄関の土間に20センチの高さの台を置きます。
さらに、手すりを設置して、腕の力も使って、足の筋力とバランスの補助となるようにします。
昇段の筋力補助となるように縦手すり
バランス補助となるように横手すり
L型手すりを設置すると良いと思います。
昇段(昇るとき):怪我をしていない足から上がります。
後段(降りるとき):怪我をした足から降ります。ゆっくりと良い方の足の膝を曲げる筋力を使って降ります。
昇降機
玄関框を2段にすることや、手すりを設置した状態でも、昇降が困難な場合や、転倒の危険がある場合には、昇降機を提案します。
コチラの昇降機は、上下昇降・左右回転が可能ですので、靴の着脱、框の昇降を安全に行うことが出来ます。
廊下と各部屋の段差に注意する
ドア(建具)の敷居による段差があります。
建具の種類によって敷居の撤去が可能な場合には、介護保険の住宅改修費用を使って解消することをおすすめします。
よく通る場所を改修することで、再転倒のリスクを軽減させることができます。
歩行状態によりますが、歩行器を使用する方には、すり付け(小型のスロープ)の段差解消は有効です。
注:杖歩行や伝い歩きの方には、すり付けはおすすめしません。
敷居にカラーテープなどで目立たせ、段差を意識することによって跨ぎやつまづき予防も有効です。
洗面所 トイレ 浴室
洗面所やトイレや浴室の水回りには段差がある場合があります。
特に古い一戸建てやマンションに多く見られます。この場合、段差の横に、縦手すりを設置して昇降の時の転倒予防に使用します。
カーペット・ラグにも段差があります
カーペットやラグは、部屋の小さな段差ですが足を引っかけてしまうことはあります。
ラグの端が、少しめくれているところに引っ掛かることがあります。
段差としては、小さいですが、注意が必要です。
大腿骨頸部骨折をした高齢者は、注意した方が良いと思います。
ラグの撤去やスリッパを使用しない提案もすることがあります。
退院後の転倒を防止するためのチェックポイントをまとめた記事はコチラ
骨折後の階段は要注意
階段は全て段差です。大腿骨骨折の方には要注意の場所です。
骨折の原因になり、骨折後は利用できないことがあります。
エレベーター
階段の利用をやめ、エレベーターを使用する。
安全に階の移動が出来ます。荷物も歩行器も一緒に2階へ行くことが出来ます。
設置コスト、ランニングコストが必要で高額なのがデメリット
リフト
エレベーターの使用が出来ないときは、リフトを使用する。
リフトを利用することで、安全に階の移動が出来るようになります。操作も比較的簡単ですので、高齢者でも操作しやすいと思います。
デメリットは高額であること、階段利用者の邪魔になる。
手すり
最も現実的な、住宅改修方法です。価格も手ごろです。賃貸住宅であってもオーナーの理解を得やすく、設置のための工事の期間も短い。
まとめ
今回は、大腿骨骨折後の住宅改修のポイントを解説しました。
- 大腿骨骨折で筋力が低下する
- どのような場所が危険な場所なのかを知る
- 住宅の段差を解消する改装を行う
- 改装方法を数多く知って、様々な提案が出来るようになる
日本の住宅は本当に段差が多いです。
段差解消方法を学習して患者さんの在宅生活を支援しましょう。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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