脳卒中患者が自宅復帰するときにチェックポイント7選

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家屋調査

脳卒中患者さんが自宅復帰する場合には、家屋調査や住宅改修の提案が必要な場合があります。

このブログでは、宅建士と理学療法士として数々の住宅を見てきた視点で、チェックするべきポイントを紹介します。

このブログを読んで頂く事で、患者さんが在宅復帰された後の生活が少しでも安全に、安楽に過ごせるようになります。また、ご家族さんにとっては、介護負担の軽減につながります。

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脳卒中

脳卒中はどのような病気か

脳卒中とは、脳の血管がトラブルを起こす病気です。脳卒中は大きく脳出血・脳梗塞・くも膜下出血に分類されます。脳梗塞は脳血管が「詰まる」のに対して、脳出血とくも膜下出血は脳血管が「破れる」という違いがあります。

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症状

片方の手足・顔半分のまひ・しびれが起こる。ろれつが回らなくなる、言葉が出なくなる、他人の言うことが理解できなくなる。力はあるのに立てなくなる、歩けなくなる、フラフラする。片方の目が見えなくなる、物が二つに見えるようになる、視野の半分が欠ける。経験したことのない激しい頭痛がする(くも膜下出血の場合)

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脳卒中のリハビリ

脳卒中後には、後遺症を改善するためにリハビリを行います。脳卒中後の症状は患者さんによってさまざまですが、基本的に入院後できるだけ早期にリハビリを開始します。発症後、何もせずに時間が経過すると、回復が遅れたり、期待されるところまで改善できなくなってしまったりするケースがあるからです。

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退院後の自宅生活

症状が多岐にわたり、その後の経過も人によって様々です。病院を退院するときの身体状況も個人差が大きいです。自宅の生活環境の調整範囲も大きく異なってきます。
車いすで生活する方と、歩いて生活する方では調整内容は異なります。

今回は、歩いて退院され、自宅に帰られる方を想定して解説していきます。

車いすの方に関しては、別の記事でご紹介します。

脳卒中の後遺症では、半身麻痺となり、生活に支障をきたすことがよくあります。
この場合、麻痺により手足が思うように動かせないことで、生活に必要な活動が阻害されてしまいます。自宅の環境に注意するところを丁寧に一つずつ確認するようにします。

コミュニケーションに後遺症がある場合は、呼び出しを発信する方法を検討します。枕元にベルを置いて介護者の呼び出しをすることもあります。

①寝室

布団からベッドへの変更が望ましいです。
介護認定を受け、要介護2以上であれば福祉用具のレンタル品として、ベッドがレンタルできます。
また、要介護1以下の場合には、ケアマネージャーと相談をして、必要な場合には主治医の同意のもと介護保険を利用してレンタルが可能な場合があります。また、自費レンタルを利用される方もあります。ケアマネージャーさんや福祉用具業者さんと相談が必要です。

部屋に入って寝たときに、麻痺側が部屋の奥になるようにベッドの向きを調整します。

ベッドの周辺には、日常的によく使うものを配置すると便利になります。

  • リモコン(TV・照明)
  • 水筒
  • 携帯電話
  • ティッシュペーパー
  • ベッド柵

ベッドの手前側に、起き上がるときに持つところ『ベッド柵・置き型手すり・ベストポジションバー』などは有効です。起きた足元には、滑り止めマットも有効です。

置き型てすり
ベストポジションバー
滑り止めマット

②トイレ

トイレは、洋式便座を選択します。和式便座は洋式便座への変更を最優先で検討してください。

温水ウォシュレットは、衛生的な面からも推奨してます。

便座から立ち上がり時に、手すりを持って立ち上がることで、楽に安全に立ち上がることができます。持ちやすい場所に、立ち上がりやすい手すりを設置してください。

③食事

椅子に座り食事をすると、食べこぼしの量を確認してください。毎回食べこぼしがありる場合には、エプロンや食器の選定を提案します。

エプロンの種類

  • 折り返しがついている
  • 大きく広がる
  • 洗いやすい素材

病院でも、よく使用されており、介護負担の軽減にもなります。

食器は、箸、スプーン、フォークも様々な形状のものが販売されています。

箸を使用することで、うどんそばなどの麺類がおいしく食べれますので、食事場面のむせや食べこぼしを確認して提案を行います。手の形にピッタリの持ちやすく、つまみやすい箸は病院でも良く使用します。
デイサービス用に2本目を用意すると便利です。

食器は、形状と滑り止めの必要性について確認を行います。脳卒中の後遺症により、利き手が使用できなくなった患者さんがスプーンを使用するときに食器が動くことがないか確認します。
また、スプーンですくう時に、こぼすことがないかどうか確認をします。

半側空間無視がある場合には、無視側に熱いお茶や汁物などを置かないように、セッティングの注意が必要です。介護者への説明を行ってください。

④リビング

退院後、リビングでテレビを見て過ごす時間が長い方をよく見かけます。
テレビを見ることが悪いわけではありませんが、テレビを見て動くときには、麻痺側の手足を含め、腰や首が硬くなって、動くときに痛みが出る場合などもあります。

『どのように、1日の時間を過ごすか』

自宅退院後の患者さんの一生に関わっています。
常にリハビリを強いることは良くありません。
何もせず廃用による機能低下を見過ごすこともできません。
介護者に運動を促すように指示をお願いすることも負担になります。

時間の過ごし方は、難しい課題です。
理学療法士としては、リハビリに時間をかけることは嬉しいですが、趣味に時間をかけることも素晴らしいことです。更に、新たな事にチャレンジする事ができれば、これからの人生は変わっていくと思います。

テレビを見ながら手のリハビリができるように、リハビリグッズを準備すると効果的です。


担当利用者さんの趣味活動の一例

  • 手芸・裁縫・編み物
  • スマホゲーム(テトリス・ドラクエ)
  • 読書
  • 絵を描く
  • 囲碁・将棋
  • 俳句
  • 書道
  • 折り紙
  • コーラス・合唱

⑤玄関

玄関と同じように段差と靴の着脱が主な注意点です。

玄関框は、上る・降りるが安全に一人で出来るかどうか確認して、必要に応じて手すりの設置をします。段差のあるところの壁に縦手すりを設置する。麻痺により片手が使用できなければ、動作に支障が出ている動作に対して、さらに必要な改修を検討します。

  • 横手すりで対応する
  • 介助者が昇降の介助を必ず行う
  • 段数を増やして段の高さを小さくする
  • 昇降機を設置して移動する

靴を履く動作は、一人で出来るか、介助が必要かどうかを確認します。

靴下をはく動作が一人で出来る人は靴も一人で履くことができる場合が多いです。

玄関に椅子を置いて、靴の着脱を一人で出来るように環境の調整を行います。
この椅子には、デイサービスの送迎者が到着するまで、待つための椅子としても使用できます。

⑥階段

麻痺した手足で階段を昇降する場合は、『手順』をしっかり覚え、『手すり』を持って昇降する必要があります。

手順

のぼり:麻痺のない足から上ります。
くだり:麻痺の足から降ります。

前向きにくだりができなければ、横向き後ろ向きにくだりを行っても構いません。
安全を最優先に階段を移動できる方法を確認します。

手すり

麻痺の程度によって、階段の両側の壁に設置することもあります。

住宅の構造上付けられる壁が限られる場合があります。
設置された手すりを使って、安全に昇降する手順や動作を練習する必要があります。

⑦入浴

家での入浴は、シャワー浴か入浴をするか、とても難しい判断の場合があります。

浴槽への入浴は、難易度の高い動作です
福祉用具も数多く販売されていますが、うまく使用できるかどうかも判断がつきにくいです。
無理をせず、慎重に自宅生活の様子を見ながら、自宅で入浴するかどうか検討することをお勧めします。

シャワー浴では、洗い場にシャワーチェアーや出入り口に手すりの設置が必要な場合があります。

シャワーチェアー
出入り口用手すり

まとめ

今回は脳卒中を発症した患者さんが自宅に退院する場合のチェックポイントを説明しました。

高次脳機能障害・認知症がある場合は、福祉用具やグッズをうまく使えるかどうかは評価が必要です。手すりは、必要な場所に設置すると、使い方を説明しなくても自然と使用するがあります。

一人ひとりに合わせて、住宅環境を調整する必要がありますので、これで万全ではありません。
基本的な項目をチェックした後に、個別に必要なポイントは、家族さんやケアマネージャーさんや福祉用具業者さんと相談しながら決めていくと良いでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ご質問等ございましたら、コメントにてお願いします。


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