現在、セラピストは、感染対策をしながらリハビリ業務を頑張っていると思います。
患者さんが退院する自宅環境を把握して、治療プラグラムを立案していると思います。
【退院前訪問指導】セラピストの介入する家屋調査が、患者さんの退院後の生活に大きく変わります。
十分な住宅改修や生活環境の調整が出来れば、患者さんの退院後の生活は安全になります。
逆に、不十分な住宅改修や、危険な個所の見落としは、退院後すぐの転倒につながってしまいます。
このブログでは、【退院前訪問指導】でセラピストが実施する家屋調査が成功するためのポイント5選を紹介しています。
退院後の患者さんが、「理想の生活」を手に入れることができるように「退院指導に強いセラピスト」を目指しましょう。
この記事を書いた人
- 理学療法士、宅建士、訪問リハビリ9年、病院5年、不動産業10年
- 不動産業営業からPTに転職し、訪問リハ&住宅改修情報を発信中
- 日本一平面図を書くのが上手な訪問リハPT
【退院前訪問指導】の報告書の書き方のポイントを紹介した過去記事
写真にベッドの図を配置できるようになります。
住宅改修の提案書をキレイに作成できるようになります。
病院で<生活に必要な評価>ができている
移動方法の評価
歩行、歩行補助具を使った歩行、車椅子など患者さんの移動形態は様々です。
病院で行っている移動方法が、同じように自宅で出来るとは限りません。
患者さんの移動能力に合わせて福祉用具を選定し、リハビリを行うことはセラピストは皆さん実施しています。生活期のリハビリでは、本人の能力だけでなく、住環境にも着目して福祉用具を選定しています。
家の中では、福祉用具を使わない患者さんがいます。
「フリーハンド歩行」や「伝い歩き」の評価は必要です。
転倒を防止するための手すり、取付場所や手すりの形状について解説しています。
階段の昇り降りすることができる
自宅の内・外に階段や段差はたくさんあります。
家の中には、玄関框(かまち)、階段、洗面所、風呂、トイレなど様々な段差があります。
屋外は、段差・坂道ばかりで、道路も凸凹ですね。
患者さんが、どのように階段を昇り降りするか評価しておくことが大切です。
- 〇㎝まで昇り降りすることができる(フリーハンド)
- 手すりを使うと〇㎝まで昇り降りすることができる
- 安全に昇り降りするときの動作方法
- 介護のポイント
バランスを崩しやすい「またぎ動作」の評価
生活の中で「またぎ動作」するとき
- 浴槽の出入りの時
- ドアの段差を踏まないようにするとき
- 床の踏みたくない場所を通るとき
ドアの段差を踏まないようにするときとは?
約20年以上前に建築された一戸建て住宅では、ドアやふすまに段差があり、5㎝程度の段差があります。段差を踏むとバランスを崩すことがあるので、敷居を踏まないように「またぎ動作」を行います。
床の踏みたくない場所を通るときとは?
屋外の道路のへこみ(でこぼこ)
道路上の踏みたくない物(花・犬の〇〇〇)
グラグラするタイル
などは、「またぎ動作」で通行します。
病院では、障害物を設置して歩幅を広げた歩行が安定しているか評価を行います。
足を上げて、高さ○○㎝の障害物を越える「またぎ動作」評価を行います。
お風呂に関する過去記事
【自宅のお風呂】お風呂に入って身体を洗いたいときの住宅改修ポイントを紹介
つえ・歩行器の高さを計測している
【退院前訪問指導】に出発する前に、杖や肩峰の高さを計測します。
手すりを設置するときに、杖の高さや肩峰の高さが目安になります。
横手すりの高さは、杖と同じ高さにすると、使い勝手がよくなります。
階段の手すりも、廊下の手すりと同じように設置します。
縦手すりは、「肩峰の高さ」「肘頭の高さ」を目安に設置します。
手すり設置は、多くの住宅改修で提案されます。
転倒予防や歩きやすさ改善に効果がありますが、廊下幅を狭くすることにもなります。
家族さんが車いすを使っているときは、手すりの設置は慎重に行ってください。
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自宅周辺の環境を確認 改善案を想定しておく
退院後の患者さんのやりたい事と関係があります。
【退院前家屋調査】家屋調査に使用する道具、自宅周辺の環境によって選定する福祉用具が変わります。
【退院前訪問指導】家屋調査前に、福祉用具の想定をすることが大切です。
自宅周辺のチェックする環境
- 自宅周辺の坂道
- 自宅周辺の交通量
- かかりつけ医までの道のり
- スーパーまでの道のり
退院後に患者さんがやりたいことに合わせて、自宅周辺の環境の確認をします。
自宅周辺の坂道
家の前が坂道が多い場合は、「抑速ブレーキ付き歩行器」「ロボットアシスト歩行器」を選定する場合があります。歩行器の重量が重たくなるため操作に慣れが必要です。
自宅周辺の交通量
外出するときのルート選定に重要です。
最短ルートでも、交通量が多く危険な場合があります。
自宅の周りの信号のある交差点を、青信号で渡ることが出来るか評価しておきましょう。
歩行速度が遅い場合は渡り切れないことがあります。
○○までの道のり
行きたい場所に行けるようにする。
一緒にルートを考えて、休憩場所の提案や荷物の運び方を考えます。
買物に行くために必要な評価や注意点を紹介している過去記事
家屋調査をする住宅の情報を知っている
入院前の患者さん情報は、転院前の病院から情報をいただくことがあります。
現病歴、既往歴、年齢などを知っておくことで、入院前から事前準備ができます。
【退院前訪問指導】家屋調査の前に、患者さんの住宅情報を知っていると事前準備ができます。
患者さんや、MSWさんから情報収集することは大切です。
さらに、自分で見に行って確認しておくことがオススメです。
【退院前訪問指導】家屋調査の時間を有効に活用するために、住宅改修の箇所を予想しておきましょう。
情報収集しておくと予想しやすくなること
- 持ち家or賃貸
- 一軒屋orマンション
- 築浅or古家
持ち家or賃貸
住宅改修ができるかどうか大きくかかわってきます。
賃貸住宅の場合は、玄関・廊下・浴室に手すりの設置ができないことがあります。
工事ができない場合は、福祉用具のみで対応することになります。
一軒家orマンション
マンションの場合は、エントランス(マンションの入口)に階段がある場合があります。
玄関ドアが重たく開けられない患者さんや玄関に段差があり危険なケースがあります。
マンションの廊下は、共用部分で置き型手すりも設置できないことがあります。
築浅or古家
昔に建てられた住宅では、和式の便所、室内に段差が多いなど検討する箇所が増えます。
自宅が狭く、手すりの設置場所がない時もあります。
新しい家の場合は、車椅子が廊下に当たるとキズができます。
廊下にキズつけないために保護シートの改修提案もあります。
退院後の生活に強いセラピストになりたい人へ
結論から言うと、住環境の学習は、経験値が重要です。
なぜならば、患者さんの自宅は1軒ごとに違うからです。
色々な住宅を見て、それぞれに合った住宅改修の提案を行った経験が必要になります。
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患者さんのやりたいことが明確
入院中は、病気や怪我のリハビリを最優先にした治療プログラムになっていることがあります。
在宅復帰後は、病気や怪我の治療を継続する人よりも、生活を優先する人がたくさんいます。
「毎日、リハビリを頑張っている人」<「家事・生活を優先している人」
入院中の目標
- 一人でトイレに行けるようになる
- 一人で着替えができるようになる
- 一人で外出できるようになる
退院後の目標
- 一人で買物に行けるようになる
- 一人で料理ができるようになる
- 家族とお墓参りに行けるようになる
- 庭の手入れができるようになる
訪問リハビリでは、買物のルート、スーパーの店内の様子、外出先の休憩場所も環境の評価を行っています。
患者さんのやりたい事に添って、さまざまな評価を行います。
実際に店に問い合わせを行うケースもあります。
入院中から患者さんのやりたい事を把握して、【退院前訪問指導】の時間を有効に活用しましょう。
訪問リハビリでは、初回の訪問で患者さんのことを知るために注目しているポイントがあります。
患者さんの「意欲」「認知力」「趣味」は、セラピストにとって重要な情報です。
訪問リハビリだけでなく、臨床全般に役立つ情報を書きました。
趣味を再開してほしい、楽しむことを続けてほしい
人それぞれ、「生き甲斐」や「人生を楽しみ」があります。
「花の世話が好きな人」は、庭に行けるようにリハビリプログラムを立案し、現在の問題点について改善のための訓練を行います。
趣味をするために、便利な道具や、福祉用具が趣味のするために必要になるかもしれません。
住宅の環境が変われば、趣味を楽しむことが出来るようになるかもしれません。
トイレに行くことだけが、住宅改修の目的ではなく、生活をより豊かにするための提案を心がけましょう。
- 生活だけでなく、人生の楽しみを取り戻す提案
- 毎日の楽しみがわかれば、リハビリに取り入れることが出来る
- セラピストとの信頼関係にも影響する
自宅の庭で園芸を再開したいとき、転倒防止のポイントを解説
退院直後の患者さんが自宅で転倒する!
転倒防止のためのチェックポイントを宅建士のPTが徹底解説!
退院前訪問指導のメンバーが揃っている
セラピストだけでは、家屋調査がうまくいかないことがあります。
手すりの取り付け位置が決まっても、工事ができるかどうかの判断が必要になります。
高性能な歩行器の選定をしても、介護保険の予算オーバーになる場合があります。
患者さんを中心とした、医療・介護・福祉のメンバーが揃うことで、いろいろな情報・知識が集約します。
【退院前訪問指導】は、患者さんの退院後の生活で考えられる問題点や、必要な支援について話し合い情報交換をする時間にしていきましょう。
専門職が集まって、チームで退院後の問題点を解消しましょう。
【退院前訪問指導】に集まってほしいメンバー
- キーパーソン
- セラピスト
- 看護師
- ケアマネ
- 福祉用具
- MSW
たくさんの人が集まることで、問題解決能力が向上します。解決にかかる時間が短縮できます。
各分野の専門家が集まっていると考えると、みんなで患者さんの困っていることを支援していきましょう。
サービス担当者会議について紹介しています。
【退院前訪問指導】に関連のあるチームの話合いについて書いています。
- 多職種との意見交換が必要な時のこと
- セラピストがケアマネージャーさんに期待されていること
たくさんのメンバーが集まったときに気をつけること
患者さん想いの優秀なPT・OTだからこそ気をつけていただきたい事を解説します。
ひとつでも当てはまることがある人
- 病院で患者さんとたくさんの話をしてきた
- 患者さんの事を第一に考えている
- 退院後も患者さんには健康で過ごしてもらいたいと思っている
- 患者さんの身体の事は、メンバーの中で一番わかっている
あなたは、優秀なセラピストです。毎日ベストを尽くしてきたと思います。
だからこそ、注意していただきたいポイント
参加者の意見を聞く
患者さんのことを想い、考えているスタッフが集まっています。全てをあなた一人で決めることが良い決定ではありません。
福祉用具の方は、控えめにされていることが多い印象があります。
セラピストよりも多くの【退院前訪問指導】に関わっておられ、頼りになるメンバーです。
<積極的に相談する方法・声のかけ方>
例)福祉用具さんとの意見交換の中で、住宅改修せずにレンタル品で代用したケース
玄関には、このあたりに手すりが必要と考えています。
形状や位置について、ご提案おねがいします。
この壁にL型の手すりを設置するのはどうでしょう
玄関の段差は、どのような方法で解消すればよいですか?
手すりだけでなく、段差解消も必要であれば、手すりと台の一体型の福祉用具はいかがでしょう。レンタルできるので不要になれば返却してください。
福祉用具や住宅改修においては、福祉用具業者さんが知っています。
セラピストの考えだけで、決めつけずに提案をする機会を作るようにしてください。
在宅リハ・生活期リハの勉強は、オンラインセミナーがおすすめです。
PT.OT.STのための総合オンラインセミナー『リハノメ』訪問できないときはオンライン家屋調査が有効
コロナウィルス感染が広がっているため【退院前訪問指導】の家屋調査が実施できない病院・施設があります。現地に訪問できない時に「オンライン家屋調査」が有効です。
実施件数は1件ですが、オンライン家屋調査はとてもよかったです。
今後は、オンライン家屋調査が増加すると思います。
ケアマネさん、MSWさんにも好評でした。
訪問・通所の在宅サービスに申し送りが出来ます。
患者さん情報だけでなく、環境情報の申し送りを行い地域サービスとのつながりもできます。
オンライン家屋調査に関しては、「リハノメ」に無料動画がありますので参考にしてください。
【登壇者】久保田 好正 先生 株式会社 斬新社 代表取締役 作業療法士 【動画名】 退院支援サポートサービス ~コロナ禍で止まった退院支援、リハビリテーションの再生のために~ 【概要】 退院支援サポートサービスは、①早期家屋調査、②福祉用具の相談、③オンライン訪問、④退院後の情報提供、⑤多職種連携のガイドラインからなる。
この動画を見て、参考になった方へ
リハノメでは、現在1300本動画と毎月20本を超える新着動画配信があります。
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登録方法やプラン選定方法、料金体系について解説しています。
まとめ
リハビリ職向けに、【退院前訪問指導】でセラピストの家屋調査が成功するポイント5選を紹介しました。
セラピストが入院中のリハビリ事だけでなく、退院後の生活にまで関わることは患者さん、家族さんにとっても幸せな事だと思います。
今回のポイントを押さえて、すばらしい生活環境の提案をしていきましょう。
- 病院内で、歩くときの手すりや段差の移動方法は確認する
- 自宅周辺の坂道やよく出かける場所を確認する
- 患者さんの自宅や築年数を確認して、古い家では改修案を準備する
- 患者さんの希望をかなえられる提案をする
- 参加者との意見交換が、質の高い家屋調査になる
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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